★SHGとはSelf Help Groupの略語で、日本語では自助グループと呼ばれています。
何かの目的のために集まった集団を日本語では「〇〇会」と言いますが、それに相当す
るのがSHGの「グループ」です。
★SHGは1935年に米国でアルコール依存症の人達が、自分たちの問題を自分達で解決しよう
として集まったことに始まると言われています。その後、薬物・ギャンブルの依存症、
摂食障害、慢性疾患、難病、不登校、引き籠りなど、いろいろな悩みのグループが世界
中に広がりました。
がんサロンやがん患者会は、がんという同じ病気の人達が悩みや苦しみや不安から解放
されることを願って自発的に集まったグループですから、SHGの一つです。
★これに対して医療者や専門家が介入してサポートする場合は、サポート・グループ
(Support Gruoup:SG)と呼ばれていて、SHGとは区別されています。
★SHGの理論的研究の歴史は古いのですが、それらを整理してその本質を要約したのが、我
国ではSHGの第一人者の岡知史(上智大学総合人間科学部社会福祉学科教授)です。
ここではその研究に基づいてSHGの本質を述べ、その概念をがん患者会に準用します。
★岡は単に同じ問題を持つ人が集まったでけではSHGとは呼べないとしています。
構造的側面として「成り立ちの基本的要素」を挙げています。それは自発性と「本人で
あること」の2つであるとしました。SHGとして成り立つためには、それが本人達によっ
て自発的に運営されていることが基本要件です。ですから、医療者や専門家が介入する
サポート・グループ(SG)はSHGとは呼ばず、区別されているのです。
★この成り立ちの基本的要件を満たした上で、機能的側面である「働きの基本的要素」を
満たすものがSHG(自助グループ)であると定義しています。
★「働きの基本的要素」として「分かち合い」「独り立ち」「解き放ち」の3つを挙げて
います。
「分かち合い」とは、複数の人が情報や考え方などを平等な関係の中で自発的に交換する
ことと定義しています。こうした相互的情報交換は「ピアサポート(peer support)」
と呼ばれています。(※peerとは仲間のことです。)
「解き放ち」とは、自分自身の意識のレベルに内面化されてしまっている差別的・抑圧的
構造を取り除き、自尊の感情を取り戻すことであると定義しています。
「独り立ち」とは、自分自身の問題を自分自身で管理・解決し、しかも社会に参加して行
くことと定義しています。
★私達のがん患者会「1・3・5の会」は、単なるがんサロンやがん患者会ではなく、SHG
の基本的要件を備えたがん患者会を目指しています。